ブロックプリントの魅力とは
元々インドのエスニック感たっぷりの洋服や小物が大好きだったのですが、初めてインドを訪れた際、「ブロックプリント」なるものを知り(以前から無意識に目にしたことはあったのかもしれませんが)、すっかり魅了されてしまいました。(魅了されるどころかお店を開くまでになってしまったのですが^_^;)
そんな大好きになったブロックプリントの魅力をご紹介します。
ブロックプリントとは、 手彫りの木版を使って布にインクを押し付けていくインドの伝統工芸。その歴史はとても古く、起源前にまで遡るとも言われています。カラフルで複雑な柄ほど幾重にもインクを重ねていくため、その作業工程は果てしなく、その分、機械では出せないハンドメイドならではの優しい風合いが生み出されます。ラジャスタン州ジャイプール近郊のサンガネール村やバグルー村に多くの工房が存在します。
ブロックプリントの種類としては、サンガネールプリントと呼ばれる一般的な化学染料を用いたもの、バグループリントと呼ばれるインディゴなどの天然染料を用いたものやイスラム文化の影響を受けた幾何学模様が特徴的なアジュラクプリント、木版ではないですが「カラム」と呼ばれる染め付け用のペンで描くカラムカリなどが代表的です。
ブロックプリントを扱うブランドとしては、ANOKHIやSomaが特に有名で、当店でも多数取り扱っています。
画像はジャイプールにあるアノーキ―ミュージアムでのランチョンマット作成の実演を見学してきた時のものです。
まず、ランチョンマットの囲いとなる枠組み部分の木版にインクをつけ、枠組みを作っていきます。
角の部分はインクが重ならないよう、紙を挟んで丁寧に押していきます。
次に中央の葉の部分にグリーンのインクを押していきます。
更にその上からお花部分に赤いインクをつけて押していきます。
これで3回の重ね押しが終了です。色ごとに版の数だけこの作業を繰り返していきます。
職人さんはいとも簡単に押していきますが、実は果てしなく集中力と根気のいる熟練の技が必要な作業です。
右側の一見シンプルな黄色いプリント生地を仕上げるのにも、4つの木版を使用しインクを重ねていきます。木版を作るだけでも大変な労力ですよね。
〜「anokhi museum of hand printing」より〜
上図はもう少し複雑な柄。右端10が完成形です。
この色柄が完成するまでには10回異なる色のインクを重ね刷りしていきます。
10cm〜20cm四方の木版で生地一面をプリントしていくには、果てしない工程が待っていることをご想像いただけましたでしょうか。
ブロックプリントとそうでないスクリーンプリント(孔版画)の見分け方は、木版と木版の接続部分の微妙な「ずれ」がポイント。
継ぎ目をできるだけわからないようにするのがベテランの技ですが、それでもところどころ微妙なずれがあるのが分かります。最近ではこの「ずれ」を模したスクリーンプリントまで出てきています。
継ぎ目分かりますか? 全てハンドメイドだから、中にはところどころ濃いところがあったり、かすれてるとこがあったり、微妙に位置がずれていたり…それがハンドメイドならではの風合いとも言えます。
ただ、仕入れの時に困るのは、特にランチョンマットなど複数で使用する小物などを仕入れる際、同じような仕上がりのものを仕入れようとしても、仕上がりにかなりの差がある場合があること。
クオリティの高いANOKHIでさえ、中にはかすれ過ぎていたり、色の出方が違ったり、インクがぼてっと落ちていたり…かなり時間をかけて選別してはいるものの、どうしても個体差は出てきてしまいますので、ハンドメイドならではの特性としてご理解くださいね。
スクリーンプリントでもエスニック感漂うインドらしいかわいいものもたくさんありますが、やっぱりこのブロックプリントはハンドメイドの温かみが感じられるとても素敵なもの。古くから伝わるインドの伝統がこれからもずっと続きますように…当店でも全力でご紹介していきます♪