ジャイプールから30キロほど離れたバグルー村。
バグルー村で染められた木版更紗は、その地名にちなんで「バグループリント」とも呼ばれているインドを代表するブロックプリント、中でも天然の染料を使った草木染めの産地として有名です。
バグルー村へはたまたまジャイプールの滞在先ホテルで知り合った同業のオーストラリア人夫妻に連れて行ってもらうことができました。
ジャイプールからこの超ローカルバスに揺られること40分(ちなみに復路は別ルートをまわるため60分)。
ドアは開けたまま運転…
バスを降りてもブロックプリントの工房があるとは思えないような雰囲気。知り合いがいなかったら恐らく辿り着けなかったと思います。
ご夫妻行きつけの工房へ。
ここでは藍やざくろなどの植物や鉱物などを染料とした草木染めや、ダブと呼ばれる防染剤を使ったダブプリント(泥防染)が行われていました。
男性の職人さんが多い中でこちらの工房では女性も活躍。
静かな工房の中では木版を押し付ける際のポン!という音だけが響く。
まず男性が大枠となる部分をプリント。
次に手前側の女性が花びらなどの細かい部分をプリント。
奥の女性が赤い染料で更に細かい花びらや葉模様をプリントしていく。
3人が流れ作業をしてできたものがこちら。
サンガネールプリントと呼ばれる化学染料を使ったブロックプリントとは明らかに異なる草木染めならではのナチュラルな色合い。この先も更に作業が続く。
別の作業場でのひと味違った色柄のプリント風景。暑い時期の作業は”ランニングにステテコ”の昭和のオヤジスタイル(訳:タンクトップにショートパンツ)が基本(笑)。
ものすごいスピードでポンポンリズミカルに押していく。
こちらはダブプリントに使用するダブと呼ばれる防染剤。黒土に小麦、アラビアゴムなどを合わせ、この中に入って何と1時間以上も足で踏んでよく混ぜ合わせてペースト状にする。最もハードな工程だそう。
ダブをプリントして乾かした状態。
この状態でインディゴなどの染料につけて乾かし、洗うとダブが落ち、その部分だけが白い状態のまま残る。
インディゴの染め樽。
インディゴで染めた生地を天日で乾かしているところ。
デザインによって染めては洗い、染めては洗いの繰り返し。
生地を干しているすぐ傍では牛が寛ぐインドならではの光景。
ここではゆったりと時が流れている。
インディゴで染めた後のダブを落とした状態。
ダブで防染したところだけくっきり白さが残る。
全行程手作業とは言えど、完成した布を見ただけでは、ここまで手間暇かけて作られているとは想像できませんね。職人のこだわりと愛情がギュッと凝縮されたインド木版更紗の代表、バグループリントのご紹介でした。